わざとじゃないけど、今の私、かなり鬼頭君に身体をくっつけちゃってる。
すごく顔が近いよ。私ははずかしくて俯くしかなかった。
【大】「あと3つだ。すぐに着くよ」
【みのり】「……よかった。ね、何分ぐらいかかる?」
【大】「20分はあるな」
【みのり】「そ、そっか…。けっこうあるんだね」
【大】「まあな。なんなら、ここで寝てもいいぞ」
普通なら、この満員電車の中で眠れるわけがない。
でも、こうして鬼頭君につかまっている状態なら…。できるかもしれない。
【みのり】「ふふ…。そうしようかな」
【大】「ヨダレつけるなよ」
【みのり】「つけません!!」
まったくもう。こんな時でも、冗談ばっかりなんだから。ちらっと鬼頭君を見る。
私を押しつぶさないよう、歯を食いしばっている。
真剣な鬼頭君が、かっこよく見えてしまった。 |
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